PGA TOUR と元マフィア

☆スポンサーは元マフィア☆ PGAツアーに参加している選手の中にはいろいろな背景を持った選手がいる。ツアー取材の中で知り合ったN.Pはその中でも特異かもしれない。PGAツアーは年度末の段階で、賞金ランキング125位までが翌年のシード選手。後はメジャー(準メジャー)を取って5年シードを持ち……。賞金だけでプロの生活を維持するのは大変なこと。トーナメントに勝って賞金を稼げばぐんと楽になる。こうした選手にはスポンサーが付くから、さらに生活が楽になるわけである。私がPGAツアーに張り付いている頃、戦うための年間最低経費は5万ドル、と。予選を通ることが少ない、もちろんスポンサーも付いていない選手は、試合に出るための経費をどこかで調達してこなければならない。銀行で借りる? 簡単じゃない。銀行は博打には貸さない。足の速いのは借りられるだろうが、日本のサラ金ほど甘くない。まさにloan shark。返せなければ破産どころでは済まない。まあまあ安全な調達法は、株主システムだったようだ。一人で、あるいは何人かで、ともかく5万ドルを集めて選手に投資する。選手は試合に出て必死に戦う。5万ドル以上稼いだ分は投資側と折半。例えば10万ドル稼げば、このうちから5万ドルを返し、残りの5万ドルを折半。選手の懐には2万5千ドルが残るというわけだ。しかし、金主の人柄は当然様々である。「金を出しているのだから」と。この項の主であるN.Pも株主システムで、経費を調達していた。金主は元マフィアだった。

☆マフィアの集まる街☆ 米国西海岸で気候が年を通して温暖な街。ここにN.Pの個人スポンサーがいた。P.Mとしておこう。単なる投資ではなく、才能と真面目な人間性に惚れてスポンサーになっていた。日本で言えばタニマチだろう。P.Mはこの街の株を持った、マフィアOBで、イタリアンレストランを経営していた。私はN.Pを通じて、結構親しくなっていった。この街を訪れた時には必ず、P.Mのお店にお邪魔した。行かないと、後で機嫌が悪かった。ある時、一緒に飲んでいると、「うちでは年に1~2回、大きな会合が開かれるんだ。人数は10人程度だが、その筋のボスたちだ。この会議でアメリカが動いているようなものさ」。名前は超一流ばかりだった。警察もFBIもすぐ反応するメンツであった。これを聴いて、心が揺れた。黙っていられなくなった。「写真を撮らせてもらえないですかねぇ?」。P.Mは口をアングリ、「あんたさあ、ボスたちが秘密の会合を開くんだぜ。そこを写真に撮ったら、どうなるんだ? ちょっと走れば砂漠だらけだし。これだけはなあ」。そりゃそうだろう。聞いた方が馬鹿だったような気がする。良い人だったが、風貌はどことなく……。神に触らなくて良かった、ってことかな。

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